FUTURE CARE CLUB第22回定例会│コロナ禍での事業への影響について
2020年6月23日(火)、JR新宿ミライナタワーにて、介護業界の健全な発展を目的に発足した経営者団体「FUTURE CARE CLUB(FCC)」主催の第22回定例会が行われました。
(テーマ:「コロナ禍での事業への影響について」)
■趣旨
「新型コロナウイルス」による介護医療等の福祉業界への影響・情報共有を行い、サービス種・地域・各企業ごとにどのような影響が現れているか、今後の経営策などにについて各社ご参加頂きディスカッションを行いました。
■ディスカッション内容
「新型コロナウイルス」による福祉事業への影響
ご参加頂いた福祉業界の企業様が気になっていた一番の懸念点は、
「福祉業界への影響」
コロナウイルスによって各福祉サービスにも大きな影響がありました。
サービス種により影響力が異なり、参加企業様それぞれの事業スタイルによってプラスの影響が出たという企業様いらっしゃれば、マイナスになっているとの声もありました。
各報道番組でも触れられていましたが、通所系サービスへ大きな影響が出てしまいました。
箇条書きで各企業様のリアルなご回答を記載させていただきます。
- 訪問介護はノーダメージだった。
- 通所介護は4~5割減だった。
- ショートステイで1名感染者が居たのでフロアを閉鎖した。
- 通所介護20%減った。他は影響なし。
- 3月は影響がなかったが、緊急事態宣言後の売上が-10%になった。5月からは-5%程度まで回復した。
- 多色種サービスを展開しているのが良かった。通所系はダメージを受けたが、訪問介護・看護を提供していたので、そちらに顧客を誘導できた。
- 小規模多機能などは影響なし。全体で見たら問題なくプラスになった。しかし、営業活動が出来ず今後の経営に影響が出るのではないか?と懸念している。
- ヘルパーが働きたくない。などの理由でケアに入れず売上が15%程度落ちた。
- 営業ができないのでポスティングをしたが、あまり効果がなかった。ケアマネに直接営業できない分効率的な営業ができなかった。
- 5月のデイ・訪問介護の売上が15%下がった。主な理由として、利用者の利用控え・ヘルパーの勤務拒否が起きた。
- ヘルパーからの感染への恐怖の訴えがあった。
- 在宅薬剤は影響なかった。しかし、クリニックの関係への営業が減らさざる負えなかった。
- デイサービスで悪い時10%ダウン。近隣で感染者がでると、利用控えなどの影響が如実に出た。
- 月に5~10%の売上アップをコンスタントにだせ、普段と変わらなかった。他社の通所サービスを利用控えした新規顧客が増えた。通常よりも新規顧客は増えなかったが、見込み新規顧客などの層を獲得できた。
- 放課後デイサービスが1.5倍の売上をだせた。
- 訪問診療にかんしては、オンライン化でほぼ影響がなかった。
- 行政が悪化したことを理由に、M&Aの案件の話しが増えた。
- 高齢者事業よりも障害者事業が安定してきているので、障害者事業を増やそうとしている。
- デイサービスが40%減収。全体で20%ダウン。
- デイサービスへの影響は同じようにあった。6月に入り、やっと4月程度の売上に回復してきた。
- 4~6月で訪問看護の売上は過去最高になった。
- 病床が10~20%稼働がダウンした。開業医も平均で10%程度ダウンしている。
介護・障害・病院等のサービスでも同様に下がっているところが多いとの意見が多く聞かれました。
しかし、複合的に多様なサービス展開をしていた企業様は、下がった収益部分を別サービスで補填することができた為、結果として普段と変わらない、または売上アップしたという企業様がいらっしゃいました。
これまで売上があまり見込めなかった事業も、今回のコロナの一件でリスク分散ができた為、様子をみて検討しているとのご意見もありました。
逆にサービス種別の展開が少ない企業様ほど、1つの事業のコロナリスクが高い結果となってしまったとの声が聞かれました。
また、多くの企業様が「営業」出来ないことを気にしており、今後の事業収益面への不透明さなどの不安的な意見が多く上がりました。
コロナ禍に陥る前でも悩む「採用」ですが、このコロナ禍ではどのような変化があったのでしょうか。
こちらも箇条書きでまとめました。
- 応募頂く年齢で40~50歳代が増えた
- 正社員が応募が減った。
- 飲食等の異業種からの転職者が増えた。
- 3月後半から増えた。月の応募が2.5倍に増えた。大半が年配の男性(未経験)だった。
- あまり増えたという感じがない。経営難の病院やクリニックからの看護師の応募者があった。
- 増えた感じはない。4月に外国人人材が入って来なかったのが痛手。看護師は増えてきた。
- 緊急事態後直接採用を止めたので、結果的に紹介経由が増えてしまった。
- コロナの影響で資格取得スクールへ誘導ができず、無資格者を採用したくてもできなかった。
- オンラインで面接が標準化したため、遠方からの申込が増えた。病院から移動したい方(看護師等)増えたように感じる。
- 応募は若干増えた。バス会社等に離職者を斡旋してもらえるよう営業に行ったが、介護職に対しての嫌悪感からか反応が良くなかった。
- 看護師が動き出しており、普段の応募が1~2名だったものが、5~7名へと増えた。あえて面接をオンライン化しないことで優秀な人材を獲得できた。
- オンライ面接・説明会にしたことでキャンセルが減り、採用数が上がった。
- 年配男性の応募が増えた。6月からは夜勤や病棟から離れたい看護師の応募が増えた。
- 看護師の採用は例年通りいい傾向で採用出来ている。
- 採用を止めている。賞与もカットしている病院が多く、医療機関からの人材流失が懸念される。
回答としては、「変化なし・増えた」との意見が多かったです。
看護師採用をしている企業様は、情勢が安定しないことが好転したケースもあり追い風となる傾向が見られました。
営業職などの一般職種と違い、コロナ禍においては普段と変わりない求職者数が動いているよです。
しかし、コロナ禍で堂々と採用活動できない部分もあり、どのように採用活動を広げるかなどが課題として浮き彫りになりました。
- 多くありすぎて迷っている。
- 申請に事務コストがかかるので検討中。
- どこが主体でやっているのかわかりづらく、掲載する場所をまとめて欲しい。
- もう少し制度が整うまで待ちたい。
- 自治体(区)からの助成金を使用した。
- 明確な助成申請は決まっていない。
- 雇用調整助成金を申請した。
- まだ申請はしていない。どれを優先して申請するかも決まっていない。
- 在宅系サービスでを行っていると申請できる助成金が少ない。対象になりづらいので精査中。
- どれが使えるのか判断がつかない。様子を見る。
- 東京都の在宅ワーク助成金を使った。
各社とも助成金については状況収集をしており定例会時点では多くの企業様が助成金を使用していないとの声が多く聞かれました。
調べる内容・ホームページ等が分かり辛いなどの問題があり、下調べしてから申請までのハードルが高いことも要因としてあるようです。
2020年6月12日にコロナ対策の2次補正予算が成立したので、こちらは是非注目して頂きたい。
①医療・福祉事業者への資金繰り支援の拡充 365億円
新型コロナウイルス感染症の影響により休業した又は事業を縮小した医療・福祉事業者の資金繰りをさらに支援するため、独立行政法人福祉医療機構による無利子・無担保等の危機対応融資。
②医療用物資の確保・医療機関等への配布等 4,379億円
サージカルマスク、N95マスク、ガウン、フェイスシールド及び手袋といった個人防護具(PPE)や検体採取キット等の医療用物資を国で買い上げ、必要な医療機関等に配布を行うともに、必要に応じて備蓄を行う。
③介護・障害福祉分野における感染拡大防止等への支援 3.3億円
介護・障害福祉分野における感染防止等の取組を支援するため、事業所等の職員が医療的見地からの相談を受けられる窓口の設置、感染対策マニュアルの作成及び感染症対策の専門家による実地指導や研修、業務継続計画(BCP)の作成支援、職員のメンタルヘルス支援等を行う。
上記に上げたものは一部ですので、詳しくは以下URLよりご参照下さい。
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/20hosei/dl/20hosei03.pdf
2021年に控える介護保険改定では、コロナの影響で社会保険料の負担権限のため報酬がマイナスになる可能性も捨てきれません。コロナの影響で議論時間が削減されているため今後の展開は未だに不透明な状況です。現時点から経費削減など経営状態見直しをできる体制づくりが重要となります。
116pに先日(FUTURE CARE CLUB第19回定例会)講師としてお越しいただきました、国光あやの衆議院議員の記事が掲載されました。
以下URLより、お買い求め頂けます。
PRESIDENT STORE (プレジデントストア)
https://presidentstore.jp/category/MAGAZINE01/012012.html
政策提言を行い少しづつでもアピールをし、より良い福祉業界となるべく今後も活動を続けて参りますので、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。