イベントレポート

FUTURE CARE CLUB第一回勉強会(前編)|小池百合子・東京都知事特別講演

2018.06.13

2018年5月23日(水)、東京都千代田区の都市センターホテルにて、介護業界の健全な発展を目的に発足した経営者団体「FUTURE CARE CLUB(FCC)」主催の第一回勉強会を実施しました。

この勉強会は、各介護法人経営者が抱える経営課題や業界課題の改善を目的に、毎月開催するものです。

ビジネス誌「プレジデント」が主体である団体だからこそ、著名な経営者や一流講師をお呼びすることが可能となっております。

初の開催となる今回は、小池百合子・東京都知事に特別講演をしていただき、おかげさまで会場には多くの介護事業者の方々が集まりました。

都知事の講演テーマは「東京都の高齢者施策 -現状・課題と今後の取組-」。

特に介護業界全体の早急対応すべき課題である「人材確保」に関する行政の取り組みなどを中心にお話しいただきました。

登壇者:小池百合子・東京都知事

プロフィール: 1952年7月15日 兵庫県生まれ

1976年、カイロ大学文学部社会学科卒業。アラビア語通訳者、ニュースキャスターを経て1992年に参議院議員選挙に初当選し、政界でのキャリアをスタート。1993年には衆議院議員選挙に当選。2003年に環境大臣へ任命されたことを皮切りに、内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)兼任、内閣総理大臣補佐官(国家安全保障問題担当)、防衛大臣など、数々の役職を歴任。2016年7月に行われた東京都知事選挙に当選し、女性として初めて東京都知事に就任した。

やがて訪れる超高齢化社会を見据えた東京都の取り組み

「東京都の高齢者施策 -現状・課題と今後の取組-」をテーマに、小池都知事はまず、1,300万人以上の人口を抱える日本の首都・東京の現状説明からスタートしました。

東京都自体は全国平均と比べて高齢化率はやや低いものの、2025年には65歳以上の人口が324万人(全人口に対して23パーセント)の割合に達すると予測。

そうした現状を踏まえ、東京都では「団塊の世代(1947年から49年に生まれた世代)」が75歳以上となる2025年を見据えて、2018年度から2020年度までの3か年計画を立て、介護業界の問題解決に関する中長期計画を以下のように進めていると説明しました。

■施設整備の目標

  • 特別養護老人ホーム:6万2千人分を整備
  • 老人保健施設:3万人分を整備
  • 認知症高齢者グループホーム:2万人分を整備
  • サービス付き高齢者向け住宅など:2万8千戸の確保

■介護人材の需給推計

  • 3万5千人分の不足(中位推計)を埋める

「大都市東京の目指すべき姿は、『地域で支え合いながら、皆が安心して暮らし続けられる東京』。人生100年時代とも言われている中、高齢者が経験や能力を生かしながら居場所と役割を持って、地域で支えたり、支えられたりしながら、安心して共に暮らすことができる街づくりを進めていくことです」

東京のこれからをこのように語り、さらに「東京の地域包括ケアシステムの構築」として、具体的に以下7つの重点分野を説明しました。

  1. 介護保険制度の円滑・適正な運営と区市町村への支援
  2. 介護サービス基盤の整備
  3. 高齢者の住まいの確保
  4. 介護人材対策の推進
  5. 在宅療養の推進
  6. 認知症対策の総合的な推進
  7. 介護予防の推進と支え合う地域づくり

介護人材不足解消のための具体的な施策を紹介

小池都知事は続いて、勉強会に参加している介護事業者の関心が特に強い、4つ目の議題「介護人材対策の推進」に言及し、これらが抱える問題点と解決案について、具体的な数字を挙げて説明していきました。

東京都における介護人材については、2025年には供給が3万5千人分足りなくなるという推計が出ており、さらに、50歳以上の介護職員が全体の約1/3を占め、訪問介護員に至っては6割を越える、という「人材の高齢化問題」も予測されるとのこと。

また、従業員数が9人以下の小規模事業所では、離職率が22パーセントにも上るという、介護業界全体における離職率の高さも問題点のひとつとしてピックアップ。「介護分野全体で考える人材対策の要は、いかにして中小事業者の職場環境を改善し、人材の定着を図っていくか、ということに他なりません」と危機感を表明。

さらに、現状の改善に向けて東京都が取り組んでいる、具体的な施策を紹介しました。

■若手人材確保に向けた施策

  • 奨学金返済相当額を職員に支給する事業者を支援

■シニア人材確保に向けた施策

  • 退職前の従業員に介護技術に関する研修を実施する場合、都から企業へ講師を派遣
  • 就職を希望するシニアへの就職支援

■事業者による「職場環境の改善」

  • 共同組合の設立などで事業の共同化を進め、働きやすい環境へ整備することへの支援
  • ICTや介護ロボットの導入・活用支援
    (導入必要経費の一部補助)

■介護職員の「待遇改善」

  • キャリアパス導入に取り組む事業者、成果を挙げた事業者への支援
  • 職員の宿舎を借り上げている事業者への支援

東京都としては、介護人材の確保・定着に向けた取り組みについて、今後も積極的に推進していく考えである、とのことです。

自身の母を介護した経験が、介護への思いを強くした

さまざまな問題点や取り組みに触れていく中で、小池都知事は「今から4年前に自宅で母を看取りました。その経験を通じて地域包括ケアシステムというものをどう構築していけばいいのか、利用者の立場から考えてきました」と、自身と介護との関わりについてもコメント。

自身の経験を踏まえたうえで語られたエピソードからは、介護に対する強い思いが感じられ、会場に集まった介護事業者の方々も、真剣な様子で小池都知事の話に耳を傾けていました。

最後に小池都知事から、勉強会にご参加いただいた介護事業者の方々へ力強いエールが送られ、会場は大きな拍手に包まれて講演終了となりました。

「社会福祉の観点に加えて、経営という切り口でしっかりと課題解決に取り組むことによって、人材が定着し、また新しい人材が入ってくる、という好循環が望めるのではないかと思います。絵に描いたようには参りませんが、これからますますニーズの高まる介護という分野を、より魅力的にしていくことは、皆様の経営のやりがいにもつながってくるのではないだろうかと思っています。

これからも皆様の『フューチャーケア』がさらに充実されることを、心から願っております」

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