FUTURE CARE CLUB第一回勉強会(後編)|宮本剛宏氏講演
2018年5月23日(水)、東京都千代田区の都市センターホテルにて、介護業界の健全な発展を目的に発足した経営者団体「FUTURE CARE CLUB(FCC)」主催の第一回勉強会を実施しました。
小池百合子・東京都知事による特別講演の後は、株式会社ケアリッツ・アンド・パートナーズの宮本剛宏代表取締役社長にご登壇いただき、「介護企業におけるシステム導入」をテーマにプレゼンテーションしていただきました。
登壇者:宮本剛宏 株式会社ケアリッツ・アンド・パートナーズ代表取締役社長
プロフィール: 1979年9月20日生まれ
大学卒業後、大手メーカーにおいて営業職を3年、コンサルティング会社においてITシステムの営業職を3年経験。2008年7月、株式会社ケアリッツ・アンド・パートナーズを創業し、現在に至る。
システム導入の一番の目的は「業務効率化」
ITシステムの営業に従事していた自身の経歴や、ケアリッツ・アンド・パートナーズ社の成り立ち、そしてFUTURE CARE CLUBについて紹介。
さらに、自社で介護事業と並行して営むシステム開発業務の観点から、介護事業者がシステムを導入する目的とポイントについて、ユーモアを交えながら解説しました。
はじめに介護業界全体のIT化における共通課題として、既に存在する多彩なシステムやツールを事業者側が使いこなせていない、と指摘した宮本社長。
「システム導入自体が目的となっては意味がありません。システムはあくまで業務効率を高めるための『手段』であり、結果的に業務効率を高められないのであれば、入れる必要はないのです。本来の目的を見失わないことが最も重要であると考えます」
と、システム導入の目的は業務の効率化である、と語りました。
システム開発は介護事業者主導で進める
続いて、ITシステム開発の流れと、事業者がどのように開発に関与すべきか、といった内容へ。宮本社長は「システム企画・要件定義の段階で、事業者側がしっかりと介入すべき」と力説します。
ありがちな失敗例のうち、代表的なものとして以下3つの例を挙げました。
失敗例1.ベンダーが事業者の意図をくみ取れていない
要件定義が明確でなかったために、
- 納期通りに完成しない
- 予算がオーバーする
- システム自体がうまく機能しない
など、期待通りの成果が出ない例。
失敗例2.実際に使用するエンドユーザーがシステム開発に関わっていない
システムを使う人間の意見が取り入れられていないために、実務レベルでの運用にマッチしていない例。
失敗例3.システムを運用・維持していけない
運用ノウハウが属人化した結果、運用担当者の退職等でシステムの運用自体がストップしてしまう例。
こうした問題を防ぎ、システム開発を成功させるためには、「発注側が細かいところまで実務レベルでイメージし、ベンダーに伝える」「システム運用担当者を自社内で複数人育成・確保する」といったポイントを押さえる必要があると宮本社長は語りました。
システム導入になぜ相見積もりが必要か?
「今回の講演でどうしても言いたかった」と前置きした宮本社長は、相見積もりの重要性についても言及。
自社の事務所移転に伴う内装工事の際に、相見積もりの結果数百万円の違いがあった、と自らの経験に触れ、「システム開発に関しては分からないことが多いと思うので、さまざまな会社の話を聞くことが絶対に必要」と力説。
また、どうしても自社で判断できない場合のみ、ベンダー選定の段階でITコンサルタントを活用することも有効な選択肢であると付け加えました。
最後には、株式会社ケアリッツ・アンド・パートナーズが開発したシステムの紹介、そして参加者からの質疑応答を受け付け、和やかな雰囲気の中、第二部の講演が終了しました。
FCC第二回勉強会は6月20日(水)18:30より、今回と同じく都市センターホテルでの開催が予定されています。ぜひ、ご参加ください。