FUTURE CARE CLUB第9回定例会│政策ディスカッション つくば市保健福祉部長 水野忠幸氏講演
2019年3月18日(月)、JR新宿ミライナタワーにて、介護業界の健全な発展を目的に発足した経営者団体「FUTURE CARE
CLUB(FCC)」主催の第9回定例会にて政策ディスカッションを実施しました。
この政策ディスカッションは介護法人の経営者が抱える経営課題や業界課題の改善を行政に働きかけることを目的に隔月開催しているもので、第一線で活躍している行政担当者がゲストとして公演し、テーマに沿ったディスカッションを行います。
登壇者:つくば市保健福祉部長 水野忠幸氏
プロフィール
平成13年に厚生労働省に入省、障害保健福祉部に配属。
その後、老健局総務課等にて法案立案、制度改正等を担当。
現在はつくば市に出向、保健福祉部長に着任。
水野氏には、初めに「つくば市における医療福祉の取り組み」についてお話し頂きました。
つくば市の現状について
- 中枢中核都市(東京圏以外の地域の経済や住民生活を支える拠点となる市)に選ばれ人口の推移も上昇傾向。
- 20年後には県内1位の人口となる見込み。
- 財政規模に関しても人口に比例して上昇している。
つくば市の社会福祉について
- 高齢化率については地域・地区により差はあるが、高齢化率の平均値が県内最低となっている。
- 今後の医療・介護サービスの提供体制の確保に関しても最重要課題としており、病院や介護施設等の充実も図っている。
高齢者福祉の施策の例
- 高齢者に、かかりつけ医や常備薬を記載したシートを冷蔵庫に貼って頂き、救急隊が緊急時に利用する。
- 高齢者向けの体操教室・筋トレ教室・ウォーキング教室などを取り入れ健康な体づくりのサポートを行う。
- 認知症サポーターの養成や、認知症疾患医療センターと連携し24時間メールで相談できる体制の整備など認知症の方への支援の充実。
- かかりつけ医とケアマネがコンタクトを取れる環境の整備。
- 出生数が約2,300人/年いるにも関わらず、市内分娩機関が3か所のみなので、産婦人科施設開設支援として上限5,000万円の補助金を設定。
水野氏は今後もできる限り全国を先駆けて色々な社会福祉事業に努めたいと話されました。
各地方自治体の対応の差異について
水野氏の講演の後に、水野氏を交えFCC参加企業様を交えたディスカッションを行いました。
今回は「地方自治体ごとによる認可基準を一定のルール化することはできないのか?」
という議題について意見交換を行いました。
◆問題提起
運営法人の大規模化・多店舗展開に伴い、複数の県や全国に展開して介護サービスを行っているが、地方自治体の対応や認可基準がそれぞれ違い事務コストを増やす要因になっている。また、実地指導内容も地方自治体で水準に差があるため、一部の地方自治体担当者との折衝の摩擦で運営法人の担当者が離職する事態になっているケースもある。
◆事例の共有ディスカッション
FCC会員企業より複数の事例をご提供いただき、情報の共有と対策についてディスカッションがなされました。
具体的な事例として、
- 指定申請時の提出書類
- 処遇改善加算の提出書類
- 実地指導の指導内容
について自治体により求められる内容・水準が異なり、また一部自治体においては実務上困難な過度とも思える指導で運営法人が疲弊しているといった声が上がりました。
水野氏は「地方分権の流れは止められないので、それぞれの自治体に対して適切に対応する必要がある」と言います。
ディスカッションでは、
- 担当者ベースで考えが異なることもありえることなので、上席者や市長など、折衝先を変えてみるのもアプローチの一つ。
- 各企業連名での意見書を検討することも必要なのではないか。
といった意見が出されました。
今回のディスカッションテーマは、また後日取り上げ協議させて頂きます。
ご参加頂きました各法人様 誠にありがとうございました。
次回は、4/23(火)を予定しております。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。