政策提言

政策提言

当団体は、介護業界における課題解決を目的として、介護事業運営の実態に基づいた問題の明確化と要因分析を行い、介護業界の各団体と協議を行いながら、解決策を模索してきました。今後の業界課題解決に向けて、下記提言いたします。

【業界課題の現状】

(1)行政提出書類の煩雑さ・重複性
介護事業者において、煩雑な行政文書の事務負担が、介護労働の低賃金および長時間労働に繋がっています。介護保険指定事業者として法令遵守は当然の責務であるものの、重複する事務作業や自治体独自のローカルルールへの対応で業務が煩雑化しており、介護事業の生産性向上を妨げる一因となっています。具体的には、以下に挙げる課題の改善が必要と考えます。

① 指導監査関連

  • 実地指導において自治体毎に提出文書フォーマットが未統一であり、指定申請書類や変更届との重複やローカルルールがある。
  • ② 各種アンケート調査・情報公表制度

  • 厚生労働省、経済産業省、国土交通省、介護労働安定センター、各自治体などの複数機関からの類似アンケートがあり、事業所の概要等について重複回答が必要。
  • 情報公表制度の入力内容に関して、事業者の事務負担が大きく、上記アンケートや変更届や実地指導時提出書類との重複も多い。
  • ③ 処遇改善加算

  • 介護請求事務の中で最も作業コストが高い(書類フォーマットの未統一、計画書やキャリアパス要件など確認書類の煩雑さなど)
  • 総合支援の実績報告書などでは、全事業所×毎月の「加算総額」を添付するため提出書類の量が膨大(全事業所の支給額と報告額の突合作業など、行政側の負担も高い)。
  • ④ 指定・更新申請関連

  • 自治体ごとに提出書類の様式や種類が未統一であり、提出期限や押印などに関してローカルルールも存在する。人員配置に関する文書など、作業コストも大きい。
  • (2)法令や制度の改善の必要性
    介護事業所の運営において、実態にそぐわなくなっている法令や諸制度は、実態に即した改善・見直しが必要と考えます。

  • 各サービスにおける人員配置基準・資格要件
  • グループホーム等に必要な認知症管理者研修・認知症実践者研修などの開催頻度や受講要件
  • キャリア段位制度等の活用している事業所が少なく、また事務作業負担が高い諸制度
  • (3)介護周辺事業への経営資源の流出 多くの介護事業者が人材不足解消のため職業紹介事業者を利用し、採用費が増大する傾向にあります。 介護分野の多くの職業紹介事業者においては、求職者との電話等の簡略化されたやりとりのみで人材紹介を行い、手数料として年収の30%~35%が設定されています。 また、規模拡大のためのM&A仲介を利用する場合でも、適切な企業価値調査やリスク開示がないまま、仲介手数料の10%程度が発生することもあります。 本来、生産性向上や従業員待遇改善に使われるべき経営資源が、高すぎる人材紹介手数料やM&A仲介手数料として、介護周辺事業へ流出していることは大きな問題と考えます。

    (4)業界構造の問題点 介護業界は小規模企業が多く、企業毎に業務効率化が図られないことが業界の平均給与が低い一因でもあります。 業界全体として一定規模の運営会社を多くすることができれば、IT投資等による事務負担の業務効率化や労務管理の改善、キャリアパスや教育制度の充実などのスケールメリットを享受することができ、平均給与が上がることで人材不足解消にも寄与するものと考えます。

    【課題の解決に向けた方針】

  • 介護分野の行政文書の削減については、令和元年5月に自民党が「社会保障改革ビジョン」においてローカルルールの撤廃を提言し、社会保障審議会介護保険部会に「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」が設置され、同委員会にて令和元年12月に中間取りまとめ、令和2年3月に令和2年度以降の取組が示されるなど、指定申請・報酬請求・指導監査のそれぞれの分野において「簡素化」「標準化」「ICT等の活用」の取組が協議されています。
  • 当団体としては、介護業界の諸団体と協働しつつ、上記取組が徹底して推進されるよう、提言していく方針です。
    同時に、介護事業所の更なる負担軽減を目的として、介護サービス情報公表システムと各種データ(国保連管理の介護給付費請求データおよび自治体管理の指定申請データや各種アンケート・統計調査等)との連携など、情報公表制度全体の見直しを要望していきます。

  • 介護事業の利益率を下げる要因の一つとなっている人材紹介手数料に関しては、職業安定法に則った上で上限の設定や返金規定期間の長期化など、サービスの質を担保する規制が必要であると考えています。
  • スケールメリットが見出しにくい業界構造を変えていくためには、業界として小規模企業の比率を下げる政策が必要と考えます。介護事業者の指定基準として一定の資本金設定や担保金の設定をするなどの規制や、一定規模の企業を対象に人事制度の整備状況を評価した上で補助金制度を導入するなど、業界再編を促す施策を要望していきます。
  • 「フューチャーケアクラブ」は、「介護のチカラでしあわせな社会をつくる。」をフィロソフィーとし、単なる同業経営者の交流の場ではなく、介護業界の構造に抜本的な変革をおこし、介護現場の雇用・労働環境改善につなげることを目指して活動しています。
    今後も加速していく労働人口減少および超高齢化を踏まえ、介護労働における雇用・労働環境を改革することで、政府が推進する持続可能な社会保障の確立に寄与するものであると考えております。

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